LOT.133

楠部 彌弌
彩埏甘瓜文花瓶

  • 作品カテゴリ: 新作陶磁器
  • 幅21.2×高35.8cm
  • 高台内に描き銘 / 1953年頃
    / 共箱
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  • 予想落札価格: ★¥1,500,000~¥2,500,000

[展覧会歴]:『生誕100年記念 [楠部彌弌展] 陶華70年のきらめき』No.55として出品 / 同展覧会図録 P67 掲載 (大丸東京店、下関大丸、大丸心斎橋店、大丸京都店、広島県立美術館:1997年)

〈作品について〉


 楠部彌式が編み出した、白色の磁士に顔料絵具を混ぜ、筆を用いて幾度も塗り重ねて文様を造り上げ、焼成し完成させる技法。「拠」は、「土に水を加えてやわらかくする」の意。彩とは彩られた練り土による文様を表している。考案のきっかけについて、作者はつぎのように書いてある。

 陶器の色はおおむね釉薬であらわすが、これを素地に星色できれば、奥行きの深い色合いが出るのではないだろうか。そう考えて研究を重ねたが、素地にいろいろな色を入れると、素地の収縮の変化により、なかなかうまくいかない。それでもやっと藍、緑、黒の三色の色土に成功した。薄く溶かした色つけの磁土を堆朱の技法で何度か塗り重ねて文様化する新手法を編み出した。名づけて「米地」。

 彩士による文様がレリーフのようになり、深みのある発色と柔らかな輪郭線をつくる。器形と彩と文様とがお互いに引き立てあい、調和して初めて効果が得られる。彩技法は昭和12年(1937年)頃に生み出され、以後40年以上、精部の生涯にわたって作品制作に使用された。彩施作品として初めて発表されたのは第2回新文展、昭和13年(1938年)に出品の「燃文花瓶」である。

『生誕100年記念楠部彌展華70年のきらめき』
展覧会図録より