心の拠り所としての芸術・文化~奈良の大仏とアマビエ~

2020/04/10

 昨今、東京では外出自粛などが広まり、世界的にも大きな混乱が報道されています。
 芸術や文化の分野も、イベントの延期・中止や美術館などの休館などにより、深刻な影響を受けています。
 しかし昔から人々は、不安困難の時こそ芸術や文化を心の拠り所としてきました。

 例えば、奈良時代に造立された東大寺の大仏は、当時疫病の流行や自然災害が続いており、国の安定を願う時代背景があったと推測されています。もちろん、仏教への信仰が重要でしたが、社会不安を取り除くために大きな文化事業が期待されました。
 現代では、先日、厚生労働省より発表された感染拡大防止の啓発アイコンに「アマビエ」が登場しました。「アマビエ」とは、江戸時代に熊本県に現れたといわれる妖怪で、「流行り病がでたら私の姿を描いて人々に見せるように」と告げたという伝説があります。3月頃からTwitterなどイラストが投稿されたり、多くの企業が取り上げたりとSNSで話題となっています。
 疫病退散の御利益をもつキャラクターとして受け入れられる姿は、どこか東大寺の大仏とかぶるかもしれません。

 能楽の大成者、世阿弥の著書『風姿花伝』の中には、「そもそも芸能とは、諸人の心を和らげて上下の感をなさん事、寿福増長の基、遐齢延年の法なるべし」と記されています。
 不安やストレスの多い今だからこそ、芸術や文化を楽しむ時でもあるでしょう。
 現在、日本のみならず海外でも、アーティストのSNSでの発信や、美術館・博物館・ギャラリー等のオンラインコンテンツの提供が活発になってきています。
 外出も難しい時期ですので、インターネットや新しいサービスもぜひ活用して、皆様つつがなくお過ごしください。

 先行のわからない日々が続きますが、アイアートでは、事態の鎮静化を待ちながら、オークション開催を目指して動いてまいります。
 次回オークションの開催日など詳細が決まりましたら、速やかにHP等でお知らせいたします。また、オンラインカタログも公開を続けておりますので、ぜひこちらもご覧ください。