横山大観の名品が注目! iART第55回オークション(12月15日 開催)

2018/12/10

 アイアートでは、12月15日㈯に第55回オークションが開催されます。今回、今春に大回顧展も開催された横山大観(1868-1958)≪海暾≫(Lot.126)と≪神洲乃正気≫(Lot.126-2)が出品され、いずれも大観の代名詞である朝日や富士山が堂々と描かれた名品です。

 大観は明治元年(1868)の生まれであり、明治から戦後まで、日本全体が大きく変化する時代を画家として活躍しました。この時代、日本美術は大変革を迫られましたが、大観はその中で新たな日本画を築いていきます。
 明治時代のはじめ、日本政府は欧米にならい油絵と遠近法などの西洋画法を導入し、日本で「洋画」が新しく成立して推奨されます。一方、江戸時代以前からの伝統的な日本美術は旧弊なものとみなされ、幕府の御用絵師であった狩野派などの画壇が勢力を失うなど、苦しい立場でした。
 しかし明治22年(1889)、岡倉天心らの呼びかけで伝統的な日本美術を学ぶ東京t美術学校が開校されると、大観は第1期生として入学します。大観はそれまで英語学校で学び、絵は鉛筆画をたしなむ程度でしたが、新しい美術学校に興味を持つと急遽受験を決めます。数カ月ほど狩野芳崖らに学びますが、受験直前に鉛筆画試験の競争率の高さから毛筆画試験に変更し、見事合格したとの逸話が残されています。
 大観は菱田春草らとともに、天心の指導のもとで西洋画に対抗できうる日本独自の絵画、すなわち「日本画」の発展を目指します。時には西洋画法を取り入れた「朦朧体」など、伝統にこだわらない急進的な絵画を発表して保守派から非難も受けますが、東洋の精神をこめた力強い制作を続けて国内外の評価を高めていき、日本画壇の重鎮となります。
 戦後、若い画家の間で従来の日本画が否定されたり、大観も戦争責任を問われたりと苦境にありました。しかし大観は、アメリカ兵に英語で「お前は何者だ」と尋ねられた際、英語で「俺はペインター(絵描き)だ」と答え、アメリカ人の嫌がるタコの絵を描いて追い返したと言われるように、決して自己を曲げず、画家として強い意志を貫きました。大観のその姿勢は、最後まで描き続けた富士山と朝日に偲ぶことができるかもしれません。

 今回オークションでは横山大観の他に、洋画では香月泰男やベルナール・ビュッフェ、日本画では加山又造や前田青邨、コンテンポラリーではカレル・アペルや草間彌生、工芸ではルネ・ラリックなど、およそ300点が出品されます。またオークションに先立ち、12/12㈬~12/14㈮の期間で下見会を開催いたします。下見会では全出品作品を展示し、お客様が直接作品を手にとってご覧いただけます。ぜひ皆様のご来場をお待ちしております。

 またアイアートHPのリニューアルに伴いまして、オンライン入札が可能になりました。はじめにウェブ上で新規WEB会員登録をしていただくと、サイトへのログインが可能となり、「オンライン入札」ページや「オンラインカタログの作品詳細ページ」から入札することができます。大変お手軽ですので、ぜひご利用ください。

〈次回オークションのお報せ〉
第55回オークション
■開催日:2018年12月15日(土)12:00~
■下見会:
12月12日(水)10:00 – 18:00
12月13日(木)10:00 – 18:00
12月14日(金)10:00 – 15:00
■会場:東京都港区新橋5-14-10 新橋スクエアビル3F

■オンラインカタログ

オンラインカタログ